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2018.11.13 [イベントレポート]
「胸躍らさせていただいて現場行っていた」11/2(金):舞台挨拶『女は二度生まれる』

女は二度生まれる

©2018 TIFF

 
11/2(金)、日本映画クラシックス『女は二度生まれる[4Kデジタル修復版]』上映前、俳優の藤巻 潤さんをお迎えし、舞台挨拶が行われました。
作品詳細
 
藤巻 潤さん:どうもこんにちは。
 
司会:上映前の短い時間ですが少し藤巻さんにお話を伺いできればと思っております。それでは藤巻さん、皆さん『女は二度生まれる』を観に来ていただいたのですが、この作品について思い出であったりとか、いろいろとお聞かせいただければと思うのですけれども。
 
藤巻 潤さん:その前に皆様、俳優の藤巻潤でございます。この大映作品である『女は二度生まれる』この上映にあたりまして大勢の方にご来場いただきまして、本当にありがとうございます!(会場拍手)
 
司会:藤巻さんは俳優座の養成所の7期生を途中で辞められて、大映にニューフェイスとして昭和33年に入られたわけですよね?
 
藤巻 潤さん:はい。
 
司会:ちなみにこれは何作品目くらいの作品になるんですかね?
 
藤巻 潤さん:そうですね~、具体的に数えたことはないんですけれども、それでもその前まではどちらかというと本郷功次郎さんと飛んだり跳ねたりの柔道映画だとか、あんまり文芸的なものには縁がなかったんですけど、そのなかで多分20本くらい撮ったかもわからない…その作品だったんですけれども、初めての文芸作品であるということで、やっぱり興奮していましたね。
 
司会:主演が若尾文子さんということで、若尾さんとはそれまでにも共演されているんですか?
 
藤巻 潤さん:そうですね。この前も確か『やっちゃ場の女』っていいまして、野菜市場の話で、若尾さんと共演させていただいております。
 
司会:ちなみに今作で東宝から川島雄三監督がやってきてということで、本作を皮切りに『雁の寺』と『しとやかな獣』の3本残されてっていうことなんですけれども、川島雄三監督の印象というか、大映に来られて、いわゆる外部から来られるっていうことで、どういった印象をお持ちだったんですか?
 
藤巻 潤さん:まず俳優仲間でうわさがあったのが、川島監督はきついよと。藤巻は相当絞られるなと言われましたね。実際に来られたら大変な紳士な方で、女優さんに一番人気あるの監督だっていうのを聞いて、改めて「ああなるほどな」と認識しました。その記憶があります。
 
司会:ちなみに大映の監督と川島監督の違いであったりとか、何かありましたか?
 
藤巻 潤さん:大体現場に出る監督さんというのはジャンパー姿で中にTシャツを着てジーパンのようなものを穿いているんですけど、川島監督だけは背広を着てネクタイをして必ず現場に来られるという紳士的といいますか、それとやはり演出でも「藤巻大変だよ、絞られて」と言われたんで僕自身も逆に言えば怖いなというよりも、有名人みたいのが鍛えていただけるんだと楽しみの方が多かったんですね。
 
司会:よくやはり女優さん、川島監督のことが書かれているのを見ると女優さんはほんと川島監督はダンディで非常に都会の匂いがしてというところで、皆さんメロメロになってということだったと思うんですけども、実際男優の方が川島監督から演出を受けられてというとこでどんな風な演出だったのですか。
 
藤巻 潤さん:僕は後から聞いたんですけど、僕みたいなニューフェイスでもあまりああだこうだ言わない方なので、そしたら俳優は台本読んだら自分なりに考えていく、それを尊重してあげるんだというお話を聞いてなるほどなと。僕はあまり、もう一回やれといわれた記憶はないんですね。ですから逆に言えば僕の良いとこを見てくれているんだなと、そういう監督さんだと思います。
 
司会:4K修復に携わって作品が非常に素晴らしい出来栄えで、藤巻さんしかり若尾さんしかり俳優の方々も素晴らしいです。藤巻さんから観どころをお教えいただけますでしょうか。
 
藤巻 潤さん:川島監督の人となり、性格的なところがあるかもしれないんですけど、観た後に心安らぐものがあると思うんですよ。そういう点もあるんですけど、ただ僕自身はどちらかというとちょっと敵っぽいというかその時代の現代っぽいという役です。芸子さんである若尾さんを商社マン役の自分が利用して、その接待をしたお客さんと実際に共に朝を迎えてくれと頼んで、それによって自分が商社マンとしての出世を狙ってるという、敵役なんです。でも私としては何十本と出た映画の中でも一番大事にしたい作品だと思っていますし、もちろんですけど川島雄三監督の演出や若尾文子さんの素晴らしい演技を堪能していただければなと思います。よろしくお願いします。
 
司会:非常に豪華なキャストが集まられている作品だと思うのですが、若尾文子さんや山村 聡さんとの思い出話があれば教えていただければ。
 
藤巻 潤さん:正直言いまして、私はまだ当時のニューフェイスですから、皆さんが寒いと火にあたるんですけれども、その場所には僕なんか行けないし、皆さんから3歩外れたところでジーっと我慢して待っているっていうような状態でした。今のタレントの方たちとは違って、大変上下がうるさかった時代なので、私はいつも後ろのほうにいて、「出番だぞ」と言われると「はい!」って言って行くぐらいで、若尾さんと口をきくだの、監督と世間話するとかそんな時代ではなかったですね。ただただこの作品に出演できたという嬉しさだけで、胸躍らせて現場に行ってましたので、本当にもっともっと皆さんと親しくおしゃべり、特に監督とはおしゃべりをしたかった、色んなものを吸収したかったという思い出のほうが強いですね。
 
司会:ありがとうございます。短い間でしたが時間が来ましたのでここで終わらせていただければと思います。最後までゆっくりとご堪能いただければなと思います。本日はありがとうございます。
 
藤巻 潤さん:どうぞ作品をお楽しみいただきたいと思います。またこれからも大映作品並びに、川島雄三監督を愛していただきたいと思っております。よろしくお願いします。

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