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2018.11.08 [イベントレポート]
「観ていて気持ちよくなるような作品にしたかった」10/30(火):Q&A『 ヒストリー・レッスン』

ヒストリー・レッスン

10/27(土)開催されたQ&Aの際の写真です
©2018 TIFF

 
10/30(火)、コンペティション『ヒストリー・レッスン』上映後、マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督、女優のベロニカ・ランガーさん、プロデューサーのアンドレア・トカさん、プロデューサーのダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタさんをお迎えし、Q&A が行われました。
作品詳細
 
矢田部PD(司会):みなさまこんにちは。東京にお越しくださいましてありがとうございます。監督、今日が2回目の上映ということで、東京を数日過ごされておりますが、皆さまにご挨拶と東京の印象を一言いただけますでしょうか。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:みなさんおはようございます。すごく朝がはやかったので、もしかしたら誰も観に来てくれないんじゃないかなとちょっとびくびくしてたんですけど、たくさんの方々にお越しいただいて、とても嬉しく思っております。東京も本当に素晴らしいですし、映画祭も素晴らしいですし、観客の方々も素晴らしいです。このように来れたことを嬉しく思っておりますし、招待をいただけたことを大変光栄に思っております。ありがとうございます。
 
矢田部PD:昨日は結構すごかったですよね。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:昨日はカラオケでした(笑)。
 
矢田部PD:ベロニカさんお願いします。
 
ベロニカ・ランガーさん:本当にみなさんとここに来ることがあって嬉しく思っております。今回の上映もまた、ここにいらっしゃるみなさんとともに拝見させていただいたんですが、これだけたくさんの方々と一緒に映画をもう一度観ることができて、言葉では何と言い表したらいいかわからないくらいです。画質も素晴らしく音響も素晴らしくて、本当に素晴らしい上映でした。ありがとうございます。東京も色々見せていただいて美しい国で、京都にも昨日行ってきたんですけど、このように来ることができてとても嬉しく思っています。ありがとうございます。
 
アンドレア・トカさん:私もこのように映画祭に参加できたことを大変嬉しく思っています。そして私たちの作品を上映してくださって、そして、みなさま方とシェアできたこと大変嬉しく、心より感謝しています。ありがとうございます。
 
ダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタさん:私もここに来れて大変嬉しく思っております。みなさま本日は上映にお越しいただきましてありがとうございます。私は、東京も日本も本当に心から好きです。ありがとうございます。
 
矢田部PD:とても温かい言葉をいただきましてありがとうございます。とてもこの映画も温かい気持ちにさせてくれる作品だと思います。ベロニカさんと監督、何度か組まれておりますけれども、今回またベロニカさんとこのような作品を作ろうと思われた作品制作の背景を教えていただけますか。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:今回制作したこの作品が3作目になるのですけれども、2作目でもベロニカさんには出演をしていただいております。今回は彼女のためにこのキャラクターを書いております。今回この作品の中で、彼女の本名が主役の名前として使われております。多分彼女とは考え方が似ているのか、すごく仕事がやりやすい。だから、仕事をするにもすごく楽しいと思って出来ると思います。
 
矢田部PD:ベロニカさんはとても経験豊富な、メキシコではとても大スターでいらっしゃいますが、今回この役に挑まれるにあたって、取り組まれたことは、特別なことはあったでしょうか。何かエピソードがあれば教えてください。
 
ベロニカ・ランガーさん:本当に今回、この役を演じるというのは大きなチャレンジでもありましたし、監督はそれをよくわかっていると思います。と言いますのも、この役の中で乗り越えなければならない壁がすごいたくさんあったんですね。年を重ねていくとなかなか自分も守りに入ってしまってリスクを取りたくないという傾向が出てくるかと思うんですが、この作品のこの役柄はリスクをどうしても取らなきゃいけない、自分がこれまで感じていなかったような感情を感じなきゃいけないという役柄だったからです。ですが、演じるということはやはり、最初からこう演じればいいんだとか、こういう役になればいいんだっていうのが、わかっていてはつまらないと思うので、新しい経験をするとか、新しいことを感じるということが、楽しさにもつながってくるという意味で素晴らしい役柄だったと思います。
 
Q:主人公の描き方というか、そういうキャラクターを監督はどうやって発想されたのかをお伺いしたいです。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:この作品はどこから着想を得たかということですが、最初の2作品についても私自身すごく気に入っていて大好きな作品です。ただそれと同時に、自分にとってはすごく未練が強いというか、すごく心残りのある作品だったんです。というのも、これまで私はどちらかというと内面からアプローチをして映画を作る方なので。今回の作品は、心が明るくなるような作品にしたかった、観ていて気持ちよくなるような作品にしたかったというのがそもそもこの作品の着想となっています。今回この中に出てくるキャラクターというのは2作目のキャラクターにかなり似通っていて、その2作目のキャラクターにちょっとひねりを加えて、もう少し明るく楽しいキャラクターに仕上げているというところです。
 
Q:ベロニカさんに質問です。女優として大切にされていることや、何か一つの役を演じるということに関して自分のポリシーなどあれば教えてください。
 
ベロニカ・ランガーさん:マルセリーノ監督は、自分の考えを明確に持っている方で、こういう風にしたいというのをすごく明確に分かっている方なんです。なので、セットに来るときは必ずこういう画をつくりたいんだとが分かった状態でセットに迎えられる、それは私たち役者にとってはすごく良いことで、ちゃんと支えてもらっているんだ、道に迷ったりしないんだということがわかるので役者としてはすごくありがたいです。監督さんによっては、現場に行って、やっぱりアドリブでこういう風にしましょうみたいな方もいらっしゃいますが、彼はそういうスタイルではないんです。それだけではなくて、彼もすごくオープンなので何かこういう風にしたいんだという提案があれば声は聞いてくれますし、もちろん合意するときもあれば、合意しないときもあるのですが、あくまでもプロセス、コミュニケーションの一環として作り上げていくことができます。
 
矢田部PD:監督はあまりアドリブは認めていないということでしょうか。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:アドリブについては状況にもよるのですが、ベロニカの場合には時々大丈夫という風にしています。なかなかほかの役者さんの場合には、やはり自分の中のアイディアというのは明確に持っておく必要がありますし、最終的にはこういう風にしたいというのも持っているので。あまりインプットすぎるのもよくないかなとは思っています。
 
ベロニカ・ランガーさん:アドリブについては状況にもよるんですけど、監督はこういう作品にするんだというのをすごく明確に持っているし、全体図を持っている。だけど私は自分のパートしか持っていない、わかっていないので、彼の考えているものを吸収するべきだと思うんです。すると場合によってはいっぱいあるんですけれども、彼からお話を聞けばわかりましたと納得をして、出来上がった作品をこうやって上映で観てみると、ああそれで良かったんだなという風にわかるわけです。
 
Q:タイトルについて何か特別な思いはありましたか。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:タイトルの翻訳版についてですが、言葉遊びになってしまいますので、配給する時にはまた別のタイトルをつけて欲しいなと思います。まだ決まったわけではないので、深い意味はありません。
この作品というのは色々な個人的なストーリーの集合体、積み重ねみたいなものだと思っていて、エヴァのお父さんのストーリーでもありますし、私の小学校時代の初めてのガールフレンドのお父さんのストーリーというのもありますし、洞窟のストーリーでもあり、自分のお父さんが聞かせてくれた心に残っていたものでもあります。もう一つのレイヤーとして、最初は歴史の先生としてスタートするのですけども、歴史を教えているだけで、自分のストーリーを教えているわけではないんですね。でもそれが最後自分のストーリーを話し始めて、お互い学び合う、そんな意味を込めています。
 
矢田部PD:一緒に過ごすエヴァさんの魅力がすごくこの映画の大きな魅力にもなっていると思います。彼女はどういう女優さんかそして、彼女が仲良くなっていくんですけど、最後までほとんど監督は彼女を笑顔にさせませんよね。そういった演出についてお伺いできますでしょうか。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:レナータ・ヴァーカという女優ですが、今回初めて映画に出演しているんです。彼女自身はYouTubeとかInstagramでメキシコではすごく有名な方です。映画に出演するのは今回がはじめてで、今後将来有望な女優さんだと思います。笑わない理由は、レナータさん自体は笑顔が美しい人なんですけども、笑ってしまうとキャラクターが壊れてしまう、という理由で笑わせていません。エヴァというキャラクター自体は私の最初の作品から使っているキャラクターで、それぞれ違う女優さんが演じていますが、エヴァというスタイルが確立しているので、それを壊したくないというのがあるんですね。
 
矢田部PD:Instagramフォローします(笑)。監督最後にご挨拶をお願いします。
 
マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス監督:何度も何度も繰り返させていただきますが、ここに来られて嬉しいです。観客の皆様、集中して観ていただいてとても嬉しいです。

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