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2018.11.08 [イベントレポート]
「障害を持っている方でも社会に参画できるという願いを込めて」10/30(火):舞台挨拶『あまのがわ』

あまのがわ

©2018 TIFF

 
10/30(火)、特別招待作品『あまのがわ』上映後、古新 舜監督、女優の福地桃子さん、俳優の吉満寛人さん、女優の住岡梨奈さん、女優の渡邉幸愛さん、女優の園田あいかさん、女優の生田智子さん、OriHime(ロボット)をお迎えし、Q&A が行われました。
作品詳細
 
福地桃子さん:本日はお忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。琴浦史織役をやさせていただきました福地桃子です。本日はよろしくお願いいたします。
 
吉満寛人さん:屋久島の医師、天野一彦をやらせていただきました、吉満寛人です。よろしくお願いいたします。
 
住岡梨奈さん:屋久島のペンションでアルバイトをしている白鳥 奏をやらせていただきました、住岡梨奈といいます。そして、主題歌と劇中歌の制作を担当させていただきました。よろしくお願いします。
 
渡邉幸愛さん:史織の友達、青柳真珠役を演じさせていただきました、渡邉幸愛です。よろしくお願いいたします。
 
園田あいか:主人公史織の友人、犬飼雪葉役を演じました園田あいかです、よろしくお願いします。
 
生田智子:主人公史織の母親、琴浦聡美役を演じました生田智子です。よろしくお願いいたします。
 
古新 舜監督:『あまのがわ』の監督、脚本をやらせていただきました古新 舜です。本日はお集りいただきありがとうございます。
 
司会:まず、福地さんにうかがいます。今作が初主演作になります。心を無くした少女という役どころを演じられましたが、いかがでしたか。また、お持ちのロボットについても、少し聞かせていただけますか。
 
福地桃子さん:普通の女子高生が感じる、葛藤だったり、日常での些細な問題や家族でのコミュニケーショントラブルだったり、そういう問題をあえて考える時間がとても多かった作品だったので、向き合うことができて、普段の自分では考えられないようなことをたくさん教えていただきました。この手に持っているロボットは、劇中でもたくさん出て来るんですけれども、心を閉ざしてしまった史織に唯一の心の拠り所を与えてくれる、そんな存在になっております。
 
司会:史織の母親役を演じましたが、本作に参加された感想をお聞かせいただけますか。
 
生田智子さん:私も実際、普段母親をやっていますので、この役をやりながら、自分は母親としてどうなのだろうかとか、いろいろ考えながら演じさせていただきました。桃ちゃんの初主演の映画に携わることができて、先日私たちも試写を観させていただいたんですけれども、とても頑張っていて。作品もそうなんですけれども、桃ちゃんの頑張りに感動いたしました。本当に「よく頑張りました」というか、本当に母親の気持ちになっていました。ぜひ楽しんでご覧になってください。
 
司会:本作は監督自ら脚本を手掛けられていますが、ある方との出会いによってこの物語ができ上がったとうかがいました。本作に込めた思いを、改めてお聞かせいただけますか。
 
古新 舜監督:まず、2014年にこのロボットと出会い、そして障害を抱えた番田雄太さんという盛岡にいらっしゃる方が私に勇気をくださいました。体を動かせるということは、私たちにとって当たり前の感覚ですけれども、障害を持っている方でも社会に参画できるという願いを込めて作成しました。いろんな人たちが助け合っていける、そんな社会が広がっていくといいなという思いを込めて、4年近く制作を続け、そして今日を迎えたという次第でございます。
 
司会:皆さん、これからご覧になりますので、もう少しこの映画のこんなところに注目してほしいなということを教えてください。
 
古新 舜監督:主人公の史織ちゃんは心を無くしてしまっている。私も東京に住んでいて、すごく便利だなあと思うことがありますが、東日本大震災で福島の南相馬にボランティアに行ったときに、東京で生活していて感じる当たり前だと思っていたことが、違った視点で見えるということに気づいたことがひとつのきっかけとなっています。
自分自身も親との葛藤というのでしょうか、父親とも母親とも仲が悪かった。大人になって全国いろんな方々とお話していると、親子関係の葛藤だったりすれ違いがみなさんの中にもたくさんあるんだなあと思いました。これから日本を支えていくのはお子さんだったり、学生さんだと思うんです。「こんなことやってもいいよね」「こんな失敗しもいいよね」っていうように、大人がどれだけその子たちを認めてあげられるかで、たぶん社会がプラスになっていくんじゃないかなあという思いがあって。映画監督として作品にメッセージを込めた時に、今の人に伝えていきたいという自分自身の答えがこの『あまのがわ』に込められております。
 
司会:本作は鹿児島と渋谷区の協力の下、製作されています。吉満さん、渡辺さん、園田さん、住岡さんに、現場でのエピソードなど教えていただけますか。
 
吉満寛人さん:宿泊していたホテルがですね、何もないところなんですよね。本当に何もないんですよ。街灯一本ない(笑)。自動販売機もないんですよ、もちろん。外へ出ると真っ暗なんですよ。皆さん都会の明るさっていうのに慣れているんですよ。真っ暗だと指先が見えないんですから。その代わり、満天の星。あとは真っ白な砂浜と波の音だけです。やることがないんですよね…。二日目ぐらいから。ロビーでねえ。焼酎が山ほど置いてあるんですよ、何だか知らないんですよ。スポンサーさんですかねえ。だから、焼酎を飲みながらコミュニケーションを図っていました。あそこの芝居どうするとか、結構まじめにやってましたね。
 
住岡梨奈さん:はい。いろんな話してましたね。夜遅くまでね。
 
吉満寛人さん:焼酎飲みながらスクワットやったりね。なんだかよくわかんなかったですけど(笑)。
 
住岡梨奈さん:真っ暗でやることなかったんですよね。
 
園田あいかさん:私は撮影の日が12月とかすごい寒い時期でした。5月か6月のシーンの撮影をしていて、すごい寒かったからスタッフの皆さんが優しくて。おもちをくれたり、ストーブとか、カイロをくれたりして、とても暖かい現場でした。
 
司会:住岡さんももう一言いただけますか。
 
住岡梨奈さん:初めて映画に出演させていただいて、主題歌も書かせていただいて。本当に屋久島に行ってから書いた曲だったので、映画のイメージだったりとか、人とのつながりとかも描けたかなと思っています。本当に私の人生にとってもいい経験だったなと思っております。
 
司会:最後に福地さんから皆様にメッセージをいただけますか。
 
福地桃子さん:この映画を観て日常の些細なことだったり、当たり前の生活を振り返る瞬間がどこかにあれば嬉しいなと思います。劇中では、屋久島が舞台になっているんですけれども、このロボットはじめ、いろんな分野でいろんなことが進化しているなかで自然とかかわというところをすごく大事にした作品になっています。そんなところも見ていただけたら、嬉しいと思います。本日は楽しんでいってください。ありがとうございました。

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