10/30(火)、ワールド・フォーカス『世界はリズムで満ちている』上映後、ラージーヴ・メーナン監督、プロデューサーのラターさんをお迎えし、Q&A が行われました。
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ラージーヴ・メーナン監督：日本の皆さんにこの映画がどう響くか、みなさんとどう繋がれるかということを懸念していたんですが、日本でも太鼓は伝統楽器としてありますよね。音楽というのは不変的なものなので、そのあたりは国境を超えるのではないかなと思っています。
 
ラターさん：東京でこの作品のワールドプレミアを迎えることができたことをとても嬉しく思っております。私たちは日本の映画から多くの影響を受けて育ってきました。皆さんから「とても楽しめた」という声を聞けたのがとっても嬉しいです。
 
石坂PD（司会）：出演のみなさんは、俳優さんですか？ミュージシャンですか？
 
ラージーヴ・メーナン監督：両方です。ナンドゥを演じたスメーシュは実生活でもムリダンガムの奏者です。主人公の師匠と車の中で討論をするシンガーはプロの歌手です。そして、ピーター役のG・V・プラカーシュ・クマールはピアニストで、50作品以上の映画音楽を手掛ける作曲家、ミュージックディレクターでもあります。彼は忙しい中、1週間に一度しかレッスンには来られなかったけれど、1年間かけてムリダンガムを習得しました。アイヤル役を演じたネドゥムディ・ヴェーヌは、本当にムリダンガムの巨匠と言われるミュージシャンです。やはり、ある程度音楽の素質がないと、役として成り立たないし映画が成立しませんでした。
 
ラターさん：もう一つ、テレビ番組も全員実際に出ている方々です。本当にある番組ですので、あの番組のセットは作っていません。また、非常に珍しいことですが、全てのロケーションが、この映画のために作ったものはありません。リアリティにこだわりたかったのでそうしました。
 
ラージーヴ・メーナン監督：番組のシーンはライブショーという形で、4台のカメラでいろんな角度から撮りました。一回撮りで全部やってもらったんです。
 
石坂PD（司会）：ピーターを演じたG・V・プラカーシュ・クマールはピアニストということですが、どうして彼を起用したんでしょう。
 
ラージーヴ・メーナン監督：ドラムとピアノには共通する部分があります。ピアノも左右違う動きをしますよね。私がそれをやろうとしても無理です。ピアニストを探していたわけではないのですが、音楽のセンスがある、ミュージシャンである、ということはキャスティングの前提としてありました。
 
Q：主人公とサーラーとのラブストーリーについて聞かせてください。
 
ラージーヴ・メーナン監督：最初はラブストーリーのパートを長く書いていたんです。サーラーは病院に勤めていて静かな性格で、身をもって人を育てる、ということをする人です。ピーターが師匠から追放され、両親から勘当されても、彼女はピーターが必要な時に愛を注ぐんです。二人が結ばれても、ピーターは師匠のこと、音楽のことを考えていて、結局彼女は彼を開放します。チャンス探す旅に送り出します。哲学家が「愛しているなら開放しなさい」という、まさにその行為なんです。
 
Q：今回の作品でA・R・ラフマーンが作曲で起用されてますが、どんなアプローチをしたんでしょうか。
 
ラージーヴ・メーナン監督：映画に登場する伝統音楽の楽曲に関しては、オリジナルのものに手を触れてません。300年の歴史を持つ楽曲を使っています。ただ、感情を伝えるにはA・R・ラフマーンに今風な楽曲を作ってほしかったのでピーター役の主演俳優が準備にかかっていた1年の間、毎月会って、クライマックスのシーンに向けて音楽の高まりをどうしようか、というのを相談していました。深みがありながらもシンプルに、ということをA・R・ラフマーンにお願いしました。
実はA・R・ラフマーンとは30年来のお付き合いで、彼が映画音楽の作曲に携わる5年前くらいから広告代理店の仕事を一緒にしていました。彼は広告のための音楽も書いていたんです。ですから、親友として良く知っていますし、この作品の前に撮った2作品にも彼は楽曲を提供してくれました。主演のG・V・プラカーシュ・クマールはA・R・ラフマーンの甥で、ミュージシャンなんです。彼のことは赤ちゃんの時から知っていていました。よく広告代理店にも遊びに来ていて、14歳の時からは出来ることがあれば手伝いたい、と雑用係をしていたんです。
 
石坂PD（司会）：監督から最後に一言どうぞ。
 
ラージーヴ・メーナン監督：みなさん、映画を気に入ってくださったのなら、是非tweetしてください。それが配給に繋がりますから（笑）。
遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。