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2018.11.05 [イベントレポート]
「女性の繊細さとか力強さに惹かれるものがある」10/27(土):Q&A『ヒストリー・レッスン』

ヒストリー・レッスン

©2018 TIFF
オープニングイベント・レッドカーペットに登壇したマルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督と女優のベロニカ・ランガーさん、プロデューサーのアンドレア・トカさん、プロデューサーのダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタさん、カルロス・A・モラレスさん

 
10/27(土)コンペティション『ヒストリー・レッスン』上映後、マルセリーノ ・イスラス・エルナンデス(監督/脚本/編集)、ベロニカ・ランガー(女優)、アンドレア・トカ(プロデューサー)、ダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタ(プロデューサー)をお迎えし、Q&A が行われました。
作品詳細
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:まずは英語でやってみます。そのあとでスペイン語になるかもしれません。
日本に来られて非常に嬉しく思っています。日本というのは様々な映画の巨匠の国ですので、非常に嬉しいです。この映画は様々な困難を克服して生きること、そして愛についての映画だと思っています。どうもお招きいただいて、ありがとうございます。
 
ベロニカ・ランガーさん:私も日本に来られて、非常に嬉しく思っています。夢が叶ったような気がします。この巨匠マルセリーノ監督に非常に私は感謝しています。この素晴らしい映画に参加する機会を与えてくれて、本当に有難く思っています。この映画というのは人生、死、女性教師の話です。楽しんでいただければと思います。
 
アンドレア・トカさん:私も東京に来られて、非常に嬉しく思っています。自分たちと違う国の観客の方と、私たちの映画をシェアできるのは非常に素晴らしい機会だと思っています。皆様の感想とご意見は本当に興味深いと思っておりますので、是非聞きたいと思います。
また、東京国際映画祭にご招待いただいたことに感謝いたします。
 
ダニエラ・レイヴァ・ベセラ・アコスタさん:私も日本に来られて、とても幸せです。東京国際映画祭の皆様、ご招待いただきありがとうございました。
 
矢田部PD(司会):監督は今までも老人と若者というコンビネーションで作品を作られてきたと思いますが、今回教師と生徒の関係で物語を作ろうと思われたきっかけを教えてください。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:年齢を組み合わせることではなくて、二つの孤独な人たちが出会う必要性、お互いが求めているものがそこにあるのです。先生と生徒ということではなくて、現代で生きることから、自分に限界を設定しまって、そこから一歩踏み出すことを伝えたかったです。
 
矢田部PD:ありがとうございます。ベロニカさんと仕事されるのは今回2本連続だと思います。またベロニカさんとご一緒しようと思われたきっかけはなんでしょうか。
そして、ベロニカさんはマルセリーノ監督とご一緒にされて、また今回もう一回声がかかってどのように思われたでしょうか。

 
ベロニカ・ランガーさん:本当に最高でした。今回は2回目ということで、コミュニケーションができていました。彼が脚本も書いていたので、最初の段階から二人でいろいろ話ができました。女優としては、プロジェクトの最初の段階から一緒にお仕事ができることはかなり特権的だと思うんですね。キャラクターも最初から一緒に作りあげることができたのでよかったと思っています。
 
矢田部PD:監督はもう最初からベロニカさん以外いないと思っていたのですか?
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:もう当て書きしてました。ベロニカさんに当て書きして、このヴェロをつくっていました。
 
矢田部PD:ありがとうございます。ベロニカさんはヴェロなんですよね。役名と女優さんの名前を一緒にしたのは何か理由があるんですか。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:はい。女優さんを決めて、その人に当て書きしたのは今回が初めてです。ぜひその女優さんの名前を使いたいと思いました。
 
Q:特にラストシーンはとても美しくて、ベロニカさんの演技はもちろん、相手役のエヴァ、あの少女がとても不思議な魅力のあるキャラクターでしたが、彼女の役柄に監督としてはどんな思いを込めていらっしゃったのでしょうか。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:エヴァという人物は、実はこれまでの私の2作品の中で登場している役柄なんです。ただ毎回違う女優さんが演じています。
エヴァという人物が担っている役割は非常に大切で、主役が思っている葛藤、内部に抱えている個人的な葛藤のトーンを設定していくという役割を担っています。
今までは年配の女性でしたけども、今回は若いエヴァを演じられる、今言ったような役割を担える女優さんを探すというのは非常に大事なことでした。レナータ・ヴァカさんは、表現力が素晴らしく豊かな女優さんで、非常にいい仕事をしてくれたと思っています。
この作品の中ではコントラストが非常に大切な要素です。若さと老いとか。生と死など、必ずそういうコントラストを表現できるということが非常に大事でした。
 
矢田部PD:まさにこの二人のケミストリー、二人揃ったときの魅力がこの映画の大きな大きな魅力になっています。ベロニカさんは、レナータさんとあのような素晴らしいコンビネーションをするために何か特別なことはされたのでしょうか。
 
ベロニカ・ランガーさん:わからないのですけども、レナータと私に起こったマジック(魔法)なのかもしれません。はじめて彼女に会った時はこれからどうなるのか、わからないという感じでしたが、映画をつくっていくうちに、だんだんと彼女のことが好きになっていったんです。一緒にいるのが本当に楽しくなってきました。ちょっと奇妙なことなんですけど、それで二人の間にすごく強い絆ができたように感じます。それは役の間の中でのことかもしれませんが、すごく強い絆ができあがっていったような気がします。
 
矢田部PD:監督、何か仕掛けたマジックがありましたら、教えてください。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:映画の準備期間が2年ほどあったんです。リハーサルもかなり重ねていました。先ほどベロニカさんの話でとても面白いのが、最初どういう方向に行くのか、どうなるかわからなかったとおっしゃっていたことです。
撮影を始めてみたら、そこにマジックが存在するのは、二人が役柄に身を任せていたところにあるのではないかなと思っています。二人の友情がスクリーンの離れたところでも生まれたのが、マジックの一つではないのかなと思っています。
 
Q:女性の強さをどういう風に表現したかったのでしょうか。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:そういうことを描くことは意識的にはやっていないと思っています。今考えてみると1作目から、女性と仕事をすることが非常に多いといいますか、女性を扱うのがほとんどだと思います。女性の繊細さとか力強さに惹かれるものがあります。
今回の作品に関しては生きることがテーマなので、やはりその中に力強さとか決断力が必要になってくることを描きたかったというのがあります。特にメキシコというのはマッチョイズム、男性優位の国なので、やはりそういう中でこういったことを描くのは大事だったと思うのですが…。途中で何を答えるのか忘れてしまいました(笑)。女性と仕事をするのが非常に好きというのはあって。自分の母親とか妹の影響があり、非常に心地が良くて、慣れていると思います。
 
矢田部PD:ベロニカさんはそれこそ数限りない監督と今まで仕事をされてきたわけが、そんなベロニカさんから見て、マルセリーノ監督のちょっとこういうとこが違うとか、何か特徴があったら教えていただけますか。
 
ベロニカ・ランガーさん:毎回すべて経験が違うんです。この映画についていうと、マルセリーノというのは私の友人で大好きな人なんです。とてもクリエイティブでとても誇り高くて本当に素晴らしい人なので、彼と仕事ができるのは嬉しくて非常に特権的なことだと思っています。
彼と仕事をやろうと思っただけなんですけど、それが楽しいこと、喜びになっていくという部分があります。お祭りやパーティーという意味のスペイン語でFiestaという言葉がありますが、最終的にFiestaになることがすごく大事なんです。そうならないと意味がないんです。
今ここにいらしているメキシコの映画祭ディレクターの女性の方もおっしゃっていますが、映画という我々が持っている情熱に自分達をゆだねていくことが非常に大事です。そういう意味で監督と共鳴できる部分があるので、一緒に仕事を進めていくのが心地がいいんです。
 
矢田部PD:監督、最後に締めのお言葉をお願いします。
 
マルセリーノ・イスラス・エルナンデス監督:皆様が今日お越しいただいたことに、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この映画を皆様に紹介できることがとても光栄です。本当にありがとうございました。

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