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瀬々敬久監督が11月1日、第31回東京国際映画祭「Japan Now」部門で『菊とギロチン』のTOHOシネマズ六本木ヒルズでの上映後に、主演の木竜麻生ともにQ&Aを行った。
「企画自体は20歳過ぎから考えていて、いつかやりたいと思っていた」というこん身の一作。大正末期の関東大震災直後、日本全国で興行を行っていた女相撲の一座とアナキスト集団「ギロチン社」の青年たちが、混とんとした社会を力強く生き抜こうとする姿を描く3時間余の一大叙事詩だ。
製作に踏み切ったきっかけは、2011年の東日本大震災。「その後の個人情報保護法や、世界的には極右が台頭したりと、(閉そくした)時代の雰囲気の中で作るべきと思った。僕が映画を作りたいと思った時は、石井聰亙(現岳龍)監督らがインディーズで自由に作っていた気風の頃。それにあこがれていたし、映画は自由であるべきという初期衝動に忠実にやりたかった」と力説した。
オーディションで約300人の中から、主人公の新人力士・花菊役に抜てきされた木竜は、「相撲の稽古が大変でした。出演が決まった人からやっていたので長い人で3カ月、私も2カ月くらい、基礎から始めたので足がガクガクになり、指の皮もむけながらやっていました」と振り返る。それでも、「皆と稽古してご飯を食べて、洗濯物も一緒。一緒に生活をして闘っていけたのが大きかった」と客席で見守っていた共演陣に感謝した。
クライマックスの大乱闘シーンなどで用いたスローモーションの意図についての質問が出ると、瀬々監督は「あれは全部雨降らしでやりたかったんだけれど、ホースが3本しかなくて前半だけで無理だと分かった。どんどん時間もなくなっていくので、「おまえら、戦え」と言って段取りもなくぶっつけ本番でやった」と説明。さらに、「あれを普通のスピードで見ていると耐えられないからスローにした。映画ってそんなもん」とカミングアウトし、観客を驚かせていた。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。