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第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されたハンガリー、カナダ合作『ヒズ・マスターズ・ヴォイス』が11月1日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、パールフィ・ジョルジ監督、俳優のポルガール・チャバ、脚本のルットカイ・ジョーフィアが会見した。
ハンガリーに暮らすペーテルの父親は、70年代に共産主義政権下のハンガリーから亡命し、以来、消息を絶っていた。幼少期に去った父の行方を調べるうちに、父がアメリカで起きた謎めいた事故に関与した疑いを見つけ、国家ぐるみの巨大な陰謀が見え隠れする。宇宙と家族を繋ぎ、人類の創生に踏み込むSFヒューマンドラマ。
パールフィ監督は、日本映画から多くのことを学んだといい「巨匠といわれる黒澤や小津からはもちろんですが、私は日本のアニメから一番影響を受けています。アニメの独特のストーリーテリングの手法に興味があります。普通のヒューマンドラマとは異なる切り口から得られる、一歩先の想像力を活かした映画製作を、自分でもやりたいと思っていた」と話す。
今作は、ポーランドSF作家スタニスワフ・レムの同名小説「His Master’s Voice」(邦題:天の声)を下敷きにしている。「レムの作品が好きで、何かを映画化したかった。映画監督として合理的に物事を考え、予算をかけずに映画化できるものを選びました。実験映画のように取り組みましたが、とても難しい挑戦でした」と振り返る。
そして、「原作はアメリカの秘密実験と、宇宙からの暗号を解読する科学者の話です。この世の中は人間だけではなく、宇宙の生命体も住んでいる。我々の生活から宇宙までをなんとかつなげ、ヒューマンタッチで描くために、息子が父を探すというオリジナルの要素を入れました」と映画独自の要素について説明した。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。