©2018 TIFF
俳優の斎藤工が主演する、シンガポールのエリック・クー監督作『家族のレシピ』が11月1日、第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門の特別上映としてTOHOシネマズ六本木ヒルズでお披露目された。
2016年に日本とシンガポールの外交関係樹立50周年を記念してスタートした企画で、両国とフランスの合作。ラーメンとバクテー(肉骨茶)という両国を代表するソウルフードを媒介に、ラーメン店で働く青年が店主の父が急死したことで、幼い頃に亡くなった母親の故郷シンガポールで自身のルーツを探っていく姿を描く。
斎藤は、クー監督のアニメ『TATSUMI マンガに革命を起こした男』などに魅了された大ファン。「日本人が知らない、日本の大切な文化を教えてくれた。日本人キャストを探していると聞いて、通行人でもいいから出たい」と、スカイプでオーディションを受け、主人公の青年役を射止めた。
撮影は「今までに経験したことのない、エリック・クーの魔法にかかったような時間で演じたという記憶がない。まさに進行形の自分が映っていて、表現の神髄、新しい扉を開いてくれた」と感激の面持ち。さらに、「フィルムメイカーとしての自分の未来も導いてくれた、壮大な出会いだった」と、監督業にも多大な影響を受けたことも強調した。
観客からは「それぞれの家族のレシピは?」という質問があり、「いい質問ですね」とニヤリ。そして、「レシピではないけれど印象深いのは、辛党一家で父が作る麻婆豆腐。山椒が日に日に加算されていって、麻酔銃を撃たれたくらいに(舌が)麻ひしたことがあった。かむ感覚がなくなりましたね」と話し、笑わせた。
一方のクー監督は、「母親の作ったチキンカレー。映画のラストシーンにも登場しますし、母は他界しましたがあの味はいつになっても忘れられない」としみじみ。斎藤も、「ニューヨークのジャパンカッツという映画祭に一緒に行った時に、クー監督の息子さんたちがニューヨーク大学で学んでいるので招待されてチキンカレーをごちそうになった。家族の食卓に呼ばれて、幸せな出来事でした」と明かしていた。
『家族のレシピ』は2019年3月9日から全国で順次公開。第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催される。