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2018.11.01 [イベントレポート]
『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督、海外での好評に驚き「世界中で仲間外れにならない」
映画コムニュース
©2018 TIFF
映画.com

社会現象ともいえる熱狂を巻き起こした映画『カメラを止めるな!』が10月31日、第31回東京国際映画祭のJapan Now部門で上映され、上田慎一郎監督がQ&Aに出席した。

監督・俳優専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップで製作され、約37分の長回し、前半と後半が大きく異なる構成、何度も本編を見たくなるようなアイデアの妙などが観客を魅了し続けている今作。上映終了が午後11時近くにも関わらず、ほぼ満席となった会場を見渡し、上田監督は「ワンカットで撮影することは、映画製作者にとって大きなロマン。長ければ長いほど難しくなっていくし、力をひとつに合わせないと撮れない」と述べ、「一方で後半はモンタージュを尽くして、時間の省略やテンポの緩急、編集のマジックを駆使して作り出した30分。前後半で対照的な30分になったというのが、意図せずですが、映画の“おいしいところ”を詰め込んだ1本になった」と胸を張った。

さらに、MCを務めた安藤紘平氏から「“映画そのもの”が面白いと再認識させてくれる。映画をつくる情熱、映画愛に満ち溢れている」と称賛されると、「すごく嬉しい言葉」とニッコリ。「自分の好きなゾンビ、ホラー映画。そして『パルプ・フィクション』『運命じゃない人』『メメント』など大好きな非直線系の物語。『映画に愛をこめて アメリカの夜』『蒲田行進曲』など大好きなバックステージもの。自分の好きなものを詰め込んで作った映画」と続け、「自分の力を使い尽くしたんですよ。引き出しにあるものを出し切った。だから、ここから仕入れないと」とさらなる飛躍を誓った。

公開から130日以上が経過し、国内での興行収入は28億円を突破。フランスでの封切りが決定したほか、12月5日にはブルーレイ&DVDが発売されるなど、まだまだその“感染”は終息しそうにない。上田監督は「世界で公開されるなど、思ってもみなかった」と目を丸くしながら、「それが今、60カ国以上の海外映画祭で上映され、いろんな賞もいただいている。世界中どこに行っても仲間はずれにならない映画なんだと、びっくりしています」と率直に明かしていた。

第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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