©2018 TIFF
第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された『ブラ物語』が10月31日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、ファイト・ヘルマー監督、女優のパス・ベガ、フランキー・ウォラック、サヨラ・サファーロワ、ボリアナ・マノイロワ、イルメナ・チチコバ、俳優のドニ・ラバンが会見した。
ドイツ・アゼルバイジャン合作の、ほほえましいエロティシズムが漂うおとぎ話。のどかな町中を走る列車の機関士が車体に引っかかったブラジャーを見つけ、まるでシンデレラの王子ように、その持ち主を探し始める。
『ポンヌフの恋人』『ホーリー・モーターズ』などで知られるフランスの個性派ドニ・ラバンをはじめ、スペイン、ブラジル、ロシアなどさまざまな国の女優が出演。全編セリフなしで物語が展開する。
ヘルマー監督は、「ヒッチコックは、「言葉で話した部分は忘れる」、トリュフォーは、「話している人を撮るのは、演劇を映画化しているだけ」だと言っています」と巨匠の言葉を引用し、「セリフがない映画を撮るのは最大のチャレンジで、言葉がなくても成立するストーリーが必要でした。観客にとって、新しい体験になると思います。音楽も入っているので、サイレント映画ではないし、新しい形の映画を提示し、映画を前進させていきたい。これこそが純粋な映画、どの国のどんな人にも字幕も必要なく見てもらえる、普遍的なアートだと思います」と今作への挑戦と意欲を力強く語った。
ヘルマー監督の長編デビュー作『ツバル』に続き、2度目の出演となるラバン。監督の変化を問われると、「そんなに変わっていません。前作よりクレイジーになったようです。今回は国際的な美女ぞろいの現場で3カ国語を駆使して撮影するハイパーアクティブな現場でした。そのエネルギーはどこからに来るのかと思った」と語る。
ヨーロッパで最も標高の高い土地のひとつである、およそ2600メートルのアゼルバイジャンの高地でゲリラ撮影を行った。水不足で、ひとつのシャワーを共同で使うなどの苦労もあったそう。フランスの女優、フランキー・ウォラックは、「撮影はうまくいきました。地元の人や警察も来たことがあり、エキサイティングでした。私が半裸で踊ることが漏れて、人だかりになったことも。緊迫感が映画に現れてよかったかもしれません」と撮影を振り返った。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。