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第31回東京国際映画祭のアジア映画特集シリーズ「国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #05 ラララ♪東南アジア」に出品された『ブラザー・オブ・ザ・イヤー』が10月28日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、キャストのサニー・スワンメーターノン、ウィッタヤー・トーンユーヨン監督がQ&Aに臨んだ。
さえない兄と聡明な妹を中心に繰り広げられる騒動を描き、タイで興行収入トップを記録した青春ラブコメディ。本作が長編4作目となったトーンユーヨン監督は構想について問われると「映画では兄妹のキャラクターがよく出てきますが、彼らが主役という作品はあまりないんです。夫婦であれば配偶者を選ぶことができますが、兄妹は選ぶことができない。この点に着目しました」と回答。そして「家族によって兄妹の関係が異なると思いますが、本来であれば“兄が妹を守る”というものを逆にしてみたらどうなるのだろうか――そのようにして、今回のストーリーを考えたんです」と補足していた。
日本文化を象徴する要素が多数登場している『ブラザー・オブ・ザ・イヤー』。「タイでは、日本の作品がテレビで頻繁に放送されているんです。例えば「ドラえもん」「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「ONE PIECE」。時代によって放送されているものは違いますが、ほとんどのタイの子どもはそれらを見て育っています」と話すトーンユーヨン監督。兄シャット役を演じたスワンメーターノンも「個人的に日本は大好き!」と明かし「観光に訪れるのも好きですね。それに小さい頃から日本の漫画に触れていたため、日本文化に接する機会は多かったです」と語っていた。
本作には韓国の人気アイドルグループ「2PM」のニックンが、キーパーソンの青年モジ役として出演している。観客から起用の理由を聞かれたトーンユーヨン監督は「(モジ役は)日本人という設定だったので、キャスティングは悩みました。タイ人の俳優が演じると、日本人らしい個性は出せない。最初からハーフ、もしくは日本人の方を起用しようと思っていましたが、タイ語のセリフをきちんと話せる方がいなかったんです」と述懐。続けて「(タイ人の父を持つ)ニックンは小さい頃から外国に住んでいたため、タイ人ほどの“完璧なタイ語”を喋れるわけではないんです。その点がモジ役を演じてもらうにはぴったりだと思ったので、キャスティングしました」と説明していた。
一方、スワンメーターノンとタッグを組んだ理由を「脚本を書きながら、兄は“さえない”“パッとしない”、妹は“完璧”“素晴らしい”というイメージを抱きました。兄の“さえない”という部分には、憎めないという感じがあるんです。情けないけれども、理解できる行動をとってしまう。そんな人を求めた結果、サニーさんのことを思い出したんです」と答えたトーンユーヨン監督。初めてオファーの経緯について知ったスワンメーターノンは「喜んでいいのか、悲しんでいいのか……複雑な気持ち(笑)」と胸中を吐露していた。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで六本木ヒルズ、東京ミッドタウン日比谷などで開催。