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2018.10.26 [イベントレポート]
長谷川博己、「アジア三面鏡」は「色っぽい映画になった」 松永監督は得た“財産”明かす
映画コムニュース
©2018 TIFF
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国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクトで製作されたオムニバス映画「アジア三面鏡2018 Journey」の会見が10月26日、開催中の第31回東京国際映画祭で行われた。長谷川博己や松永大司監督ら、日本、中国、インドネシアの俳優・監督陣が、「旅」をテーマとした今作を語った。

日本を含むアジアの気鋭監督3人が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する「アジア三面鏡」のシリーズ第2弾。長谷川&松永監督による一編『碧朱(へきしゅ)』は、ミャンマー・ヤンゴン市内で働く日本人商社マン(長谷川)の視線を通じ、民主化して間もない街の進化と喪失を色彩豊かに紡いでいく。

ミャンマーでの撮影に思いを馳せた長谷川は、「短いが貴重な体験ができた」といい、「わかりやすい描写はないですが、色っぽい映画になった」と胸を張る。「未開の地や旅が好きなので、お受けさせていただいた」と明かしたうえで、「欲を言えば、この3つの作品全部に、少しでもいいから出たかった。エドウィン監督の作品で最後、なぜか北村一輝さんが出ている。「この役、俺でもいいじゃん!」と思った」とぼやいてみせ、場内を沸かせていた。

さらに松永監督は、本作から得たことを「監督として20年続いていった時に、意味合いがわかる」といい、「(今後の活動において)「碧朱が大きな転機になっていた」と思える作品」と、現段階では未知数の“可能性”を手に入れたことを示唆。「アジア三面鏡」第1弾に参加した行定勲監督からは「褒めてもらった」といい、「「エロい」と言ってくれた」と表情をほころばせた。映画監督を目指している現役大学生の新人女優・ナンダーミャットアンは、本作で演技初挑戦。出演の経緯を「たまたま授業をサボっている時に、監督に写真を撮られ、それがきっかけで出演しました」と告白していた。

性格の異なる母娘を活写した『海』のデグナー監督(中国)は、第28回東京国際映画祭では「アジアの未来」部門に作品を出品し、国際交流基金アジアセンター特別賞を獲得した経歴を持つ。テーマに絡めて「映画を撮ること自体が旅のよう」と目を細め、「今回、プロデューサー2人が日本人。クリエイティブな部分と、自由な面を大切にしてくださった。それは中国と違うところです」と述懐した。

マンネリ化したインドネシア人夫婦の日本旅行を描いた『第三の変数』のエドウィン監督。カンヌやベルリンなど、海外の有名映画祭で高い評価を受けるインドネシア期待の星だ。「短編映画は、常にいろいろな挑戦をともなう学びの場。「映画をつくる」という職人技に向き合う機会でもあります」とし、「通常であれば、なじみのクルーと熟知した場で撮るのですが、今回は居心地の良い場から飛び出し、日本のクルーと撮りました」と話した。

また監督陣は、製作前に日本で話し合いの場を設けており、そのことが大きな活力となったそうだ。デグナー監督は「共通点がたくさんあると感じた。友だちのような感覚もあった」とほほ笑み、松永監督も「出来上がった作品以上の、大きな財産になっています」「映画監督は孤独。しかし横に座る映画人たちと、違うどこかの国で会えた時に、映画の話をすることが数少ないご褒美。またそうなるように頑張っていきたい。本当に楽しい経験でした」と晴れやかに語った。

なおこの日は『海』のチェン・ジン、ゴン・チェ、『第三の変数』のアグニ・プラティスタ、オカ・アンタラ、3作すべてに参加したニコラス・サプットゥラも出席した。第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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