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2018.11.01 [イベントレポート]
日本監督協会新人賞の岩切一空監督、悲痛“監督は食えないかも”
映画コムニュース
©2018 TIFF
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第31回東京国際映画祭で10月31日、岩切一空(いそら)監督の『花に嵐』の日本映画監督協会新人賞記念上映が東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、岩切監督とホラーテイストの異色のホームドラマ『翳りゆく父』でコンペティション部門に選ばれたブラジル出身のガブリエラ・アマラウ・アウメイダ監督が対談した。

なりゆきで映画サークルに入った新入生の”僕”(岩切監督)が、部室に置いてあったカメラを借りて映像日記を撮り始めるうちに「花」というナゾめいた女の子と出会い、「未完に終わった映画の続きを撮ってほしい」と頼まれて……というストーリー。主人公が持つカメラで物語が進むフェイクドキュメンタリーだ。PFFアワード2016準グランプリなど数多くの賞を受賞し、今年4月に日本映画監督協会新人賞も手にした。

岩切監督は、次作『聖なるもの』も若手監督の登竜門「MOOSIC LAB」で4冠に輝き、今年、劇場公開された有望株。「映画を見ていたわけでもなく、撮りたかったわけでもないのですが、シネフィルの先輩に鍛えられ、映画を撮りました。大学を卒業して4年目です。監督協会新人賞がどんな賞か知らなかった。ウィキペディアで調べて、すごい賞だと思った。インディーズ系の賞はもらったけども、こうした賞は初めてだったので、うれしかった」と喜んだ。

一方、今年38歳のアウメイダ監督は8本の短編を経て、これが長編2作目となるブラジル映画界期待の星だ。「映画に大変感銘を受けました。ラブストーリー、成長、スラッシャー映画ということがバランスよく入っている。キャラクターの欲望、感情の起伏を自由に丁寧に描いている。あたかも踊りを踊っているような感じで洗練されている。どれも巧みだった」と絶賛。岩切監督は「好きなものを入れた感じが強い。学生映画ですが、びっくりするくらい順調で、困ったことはなかった」と振り返り、「『翳りゆく父』は美しい作品。似ている部分がある」と語った。

商業監督に向け、順調に歩みだしたように見える岩切監督だが、「僕は2本しか作っていないけれども、(生活ぶりは)フリーターと変わらない。最近、絶望しかしていない。(同業の)みなさん、どういう風に生きているんだろう。生き残る術はあるんだろうと思っている。ユーチューバーは楽しそうだけど、金になるのかなって」と話すと、アウメイダ監督も「共感する。私も2本しか撮っていないけど、撮影していると生きている実感がある。学生時代は人間関係がうまくいかず、落ち込んでいた。生きることは楽しいことばかりではない。だけども、何もしないよりはいい」と励ました。

すると、岩切監督は「かろうじて映画に踏みとどまれる。僕は炎上しそうなので、ユーチューバーはやめておきます。映画を撮らせてくれる大人を探すのみ。フェイクドキュメンタリーはホラージャンル、B級と見ている人もいるが、可能性があると思っている。もう少し大きな規模の映画でできないかと思っている」と意欲を見せた。

第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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