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第31回東京国際映画祭のアジア映画特集シリーズ「国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #05 ラララ♪東南アジア」に出品された『輝ける日々に』が10月28日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、出演したホン・アィン、グエン・クワン・ユン監督、プロデューサーのヴー・クイン・ハー氏がQ&Aに出席した。
日本では『SUNNY 強い気持ち・強い愛』としてリメイクされた、2011年の韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のベトナム版リメイク。入院中の母親を見舞うため病院を訪れたヒュー・フォン(ホン・アィン)は、別の病室にいた高校時代の友人ミ・ズン(タィン・ハン)と再会する。彼女がガンで余命わずかだと知ったヒュー・フォンは、当時の仲良しグループのメンバーたちを再び集めようとする。
ベトナム版は、2000年の“現代パート”、1975年の南北統一にいたる数年間を映した“高校生パート”で構成。時代設定に込めた思いを問われたクワン・ユン監督は「75年は、ベトナムが変わり始めた頃。南北統一を果たしたことで、社会に色々な変化が訪れました。貧しい人々がお金持ちになったり、その一方で逆のことも起こりました。そして2000年は、ベトナムの社会が全てのことにおいて“上向き”になった時。需要が生まれて暮らしが落ち着き、友人のこと、昔持っていた夢のことを思い出したりする時代だったんです」と説明していた。
一方、キャラクターについては「元の脚本(韓国版)と同じような性格」を重視しながらも「ヒュー・フォンの人物像は、韓国のバージョンではナヨナヨした感じでしたが、ベトナム版では芯の強さがあります。ですが、それまでの暮らしを通じて、内心で思っていることを隠すような性格になっています」と告白。一方、クワン・ユン監督と高校の同級生だったアィンは、ヒュー・フォンの若かりし頃を演じたホアン・イェン・チビの“動き”に注目して芝居に臨んだようだ。「具体的に言いますと、驚いた時の表情。びっくりした時、感動した時、彼女は目を丸くさせるんです。もちろん時が経てば、(仕草は)落ち着いていくものだと思いますが、旧友に再会した時には、昔の性格がそのまま出ると思っていたんです」とこだわりを明かしていた。
「この脚本はとても良いものだと思います。だからこそ、3つの国で3つのバージョンができているのだと思います。これはとても興味深いこと」と胸中を吐露したクワン・ユン監督。上映時には観客とともに鑑賞していたようで「映画を見ている時、皆さんが鼻をすすっている音が聴こえてきました。作品を見たのは数カ月ぶりだったのですが、自分も感動してしまって、ちょっと涙が出てきてしまいました。自分だけでなく、周りの人も感動してくれていることを知れて、とても嬉しい気持ちです」と思いの丈を述べていた。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで六本木ヒルズ、東京ミッドタウン日比谷などで開催。