©2018 TIFF
第31回東京国際映画祭の特集企画「アニメーション監督 湯浅政明の世界」で10月26日、永井豪氏の傑作漫画「デビルマン」を湯浅政明監督がアニメ化した『DEVILMAN crybaby』のオールナイト上映会が開催。湯浅監督と音楽を担当した牛尾憲輔が、上映前にトークショーを行った。
Netflixで配信中の本作は、デーモンと合体した青年・不動明と、親友・飛鳥了に待ち受ける運命、2人がたどり着く「人知を越えた一大決戦」を描く。原作漫画の“衝撃のラスト”を初めてアニメ化した点や、原作のエッセンスを受け継いだバイオレンス&セクシャルな描写の数々が大きな注目を集めた。
湯浅監督に絶大な信頼を寄せている牛尾だが、監督のリクエストに頭を抱えたこともあったそうで、1972~73年に放送したテレビアニメ版「デビルマン」の主題歌「デビルマンのうた」のアレンジを頼まれた際の心境を「怖かったです。本当の意味で“神曲”じゃないですか」と明かす。牛尾が「もう一回作り直すというよりは、「デビルマン」という作品は既にあるので、それを使って今のものを作るという感じにしました。譜面的にアレンジするというより、サンプリングのつもりで作りましたね」と制作過程を説明すると、湯浅監督は「すごく悩まれていました。「元歌がすごすぎます」みたいな。みんなで、永井(豪)さんたちとお祓いに行った時も、まだ悩んでいました。そしてあの曲が出来上がった。すごくかっこよかったです!」と振り返った。
司会を務めたアニメ特撮研究家の氷川竜介氏は、湯浅監督のこぼした「お祓い」という言葉に興味を示し「やはり、お祓いするくらい怖い作品ということでしょうか」と掘り下げる。湯浅監督は「そうですね、永井さんは時々(お祓いに)行かれていて。でも悪魔を祓いすぎちゃうと作品が悪くなるんじゃないかと(笑)。少しだけ祓うのがいいんじゃないか」と話し、牛尾は「「デビルを祓っちゃうとマンになっちゃうから。半分くらいにしておこう」って(永井氏が)言っていましたよ(笑)」と明かした。
悪魔の登場場面では、ショッキングな描写が連続する本作。原作漫画の“トラウマシーン”のひとつであるジンメンのエピソードが話題に上がり、牛尾が「メロディ(作り)がすごく困った。例えば「恋人との別れ」のように、想像できるならいいのですが、自分の親の頭が亀の甲羅にある瞬間の曲のメロディなんてわからない。あんまりそういう経験ないなと思って」とぶっちゃけると、笑いが沸き起こっていた。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで六本木ヒルズ、東京ミッドタウン日比谷などで開催。