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2018.09.26 [イベントレポート]
今年の開催まで、あと1ヶ月!第31回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見 報告レポート

本日25(火)、虎ノ門ヒルズメインホールにて各部門の全ラインナップ・審査委員・各イベントの魅力・見所を発表する記者会見を開催いたしました。
 
イベント冒頭、久松猛朗フェスティバル・ディレクターより開催の挨拶と今回の企画や上映に関する発表がありました。
109の国と地域、1829本もの応募の中から16作品がコンペティション部門に選ばれ日本からも『愛がなんだ』と『半世界』の2作品が選出されました。
 
ラインナップ発表記者会見

©2018 TIFF

 
本日はゲストとして、第31回東京国際映画祭アンバサダーを務める、女優の松岡茉優(まつおかまゆ)さん、『愛がなんだ』から、今泉力哉(いまいずみりきや)監督と主演の岸井ゆきの(きしいゆきの)さん、『半世界』から監督の阪本順治(さかもとじゅんじ)監督が登壇しました。さらにアニメーション特集「アニメーション監督 湯浅政明の世界」から湯浅政明(ゆあさまさあき)監督が登壇しました。
 
→ コンペティション部門一覧
 
またコンペティション部門の審査委員長は、『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』でカンヌ国際映画祭監督賞、『ローサは密告された』で、同じくカンヌ映画祭主演女優賞を受賞した、フィリピン映画界を牽引するブリランテ・メンドーサ監督です。これまでにもクロスカット・アジア部門での上映や、アジア三面鏡第1弾の監督の1人でもあり、東京国際映画祭とのつながりも深いメンドーサ監督が今年の審査委員長を務めます。審査員として、J・J・エイブラムス作品や『ミッション:インポッシブル』シリーズを手掛けたプロデューサー、ブライアン・バークさん。昨年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『セールスマン』の主演女優、タラネ・アリドゥスティさん。『ルージュ』や『フルムーン・イン・ニューヨーク』の監督でプロデューサーでもある、スタンリー・クワンさん。そして、日本からは、2010年の東京国際映画祭コンペ部門出品作品『海炭市叙景』や、『家族X』、『わが母の記』など、様々なジャンルの作品で強い印象を残す、女優の南果歩(みなみ かほ)さん。 以上、5名が審査員です。
 
→ 第31回 審査委員
 
第31回東京国際映画祭は10月25日(木)~11月3日(土・祝)の10日間の開催期間中、約200本の映画が上映され、世界中から訪れる様々なゲストが多数登場し、Q&Aやトークショーなど映画祭ならではのイベントが目白押しです。
※今年はクロージングの前日11月2日(金)に授賞式を行います。
 
 
【東京国際映画祭フェスティバル・ディレクター 久松猛朗 コメント】
昨年より東京国際映画祭のこれから進むべき方向をビジョンという形で整理いたしました。1つ目は【映画を観る喜びの共有】、2つ目は【映画人たちの交流の促進】、3つ目は【映画の未来の開拓】。今年は何か新しいことをテーマとしてチャンレンジするよりも、このビジョンをよりしっかりとしたものにすること、強化することに取り組んでいこうと思っております。
【Expansive-映画を観る喜びの共有】
・GALAスクリーニング上映 ⇒ 『人魚の眠る家』
・ミッドナイト・フィルム・フェス! ⇒ 5スクリーンで一挙上映
・トリビュート企画 ⇒ 今年は「トリビュート・トゥ・コメディ」
・野外上映 ⇒ タワーライトシネマ & Cinema Athletic 31 TIFF プラス ⇒ 6つの文化イベントとコラボ
・東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場 ⇒ 通期で野外上映&イベント
【Empowering-映画人たちの交流の促進】
・TIFFとゲスト、ゲスト間の交流の深化 TIFFプレビューショウ&TIFFファンイベント
【Enlightening-映画の未来の開拓】
・マスタークラス ⇒ ブライアン・バーク氏、岩代太郎氏他5クラス
・TIFFティーンズ映画教室 ⇒ 大九明子監督
・香港スチューデント・ビジット
今年の映画祭、これまで以上に多彩で多様でにぎやかな映画祭になると思います。通常のラインナップも非常に充実したものになっていると思いますので、是非ご期待ください。
 
【第31回東京国際映画祭アンバサダー 松岡茉優 コメント】
この東京国際映画祭に華を添えられるように、若手の力を示せるように頑張りたいなと思っております。宜しくお願いいたします。
Q. まずは、今年の映画祭アンバサダーに就任されてのお気持ちをお聞かせください
最初お話を頂いた時「(私で)いいんんですかね?」と言いました。私は昨年新設されました「東京ジェムストーン賞」を頂いたものですから、せっかく第1回の賞に選んでもらったからには、その賞が今後もっと華やいだものになる為に頑張ろうと1年邁進してきましたので、その1年後にアンバサダーとはなかなか良いルート?(笑)いいタイミングで進んでいるんではないかと、ちょっと自信が持てました。
Q. 昨年のコンペ部門に出品された主演作『勝手にふるえてろ』が、観客賞を受賞。あの受賞はどんな体験でしたか?
観客賞を頂くともう1度上映があるんですが、ちょうどその日ドラマの撮影がたまたま早く終わりまして、「これはいかなければ!」と思い特別上映に伺いました。会場の熱気、そして国際色豊かな方の意見が聞けるのが素晴らしい時間だったなと思いました。
Q.アンバサダーになって映画祭に期待することもあるわけですね?
普段ショッピングや美術館、映画など色んなことを六本木ヒルズさんで楽しませてもらっているのですが、そこがお祭りになるというのがとても素晴らしいですし、大好きな時間です。また私は東京都出身なので、自信をもって地元の大好きな映画祭ですと言えることが、アンバサダーとしても嬉しいことです。
Q.『勝手にふるえてろ』観客賞、『万引き家族』がカンヌのパルムドール、凄いことですよね。どうでした?
私の初めての国際映画祭は東京国際映画祭なので、『万引き家族』 のカンヌ国際映画祭でのレッドカーペットだって歩けるぞと思っていたのですが、寒さと緊張で足がガタガタ震えました。やっぱりカンヌは凄かったです。でも東京国際映画祭の映画愛の熱量はカンヌにも負けてないぞ!と思いました。カンヌや上海国際映画祭といろいろ巡ってきた『万引き家族』が今年JAPAN NOWで、日本そして海外の皆さんにも、もう1度観てもらえるのが大変嬉しいです。
Q.『万引き家族』で共演された樹木希林さんが亡くなられました。どんなお気持ちですか?
樹木さんとの思い出は、たくさんたくさん宝物なんです。悲しい気持ちはあまりなく、1度映画の中でお別れしているのですが、そこでありがとうも沢山言えたし、私にとっては2度目のお別れのような感じがしております。樹木さんと同じ時代に生まれて、樹木さんの作品をたくさん観れる時代に生まれて、そして私が若い世代として新しい世代につなぐ役目としては、同じ時代に生まれたことに誇りをもってさらに勉強し、樹木さんのようになりたい、次の世代に渡せるような存在になりたいと強く決意しております。
 
【コンペティション部門選出作品『半世界』監督 阪本順治 コメント】
Q.阪本順治監督は2006年の『魂萌え!』(たまもえ)以来、12年ぶりのコンぺになりますが、 今回コンペ部門に出品されてのお気持ちをお聞かせください。
旅が苦手なので、荷造りをしないで済む国際映画祭は大好きです。何日かで60歳になるのですが、60歳になってコンペに選ばれるのは若い時に全く予想していなかったので、本当に光栄です。華やかな場所は苦手なんで、これからレッドカーペットを歩くとなると身構えてしまうんです。意外とはしゃいてしまうのです。今年で監督30年目なので嬉しいし、作品に関わったみんな喜んでくれているのが一番嬉しいです。
Q.『半世界』は完全なオリジナル作品で、脚本も監督ご自身で書かれていますが、本作を撮ろうと思ったきっかけは?
本作は、映画化できなかった企画がいくつかあって、1つめは同級生たちの話、2つめは炭焼き職人の話。この2本をいつか映画化したいと思っていました。プラス、稲垣吾郎君が土の匂いのする役をやってみたら面白いんじゃないか、と2つのあらすじを1つにまとめて、稲垣君へオファーしました。その他のキャラクターもほとんどあて書きですが、頭に描きながら脚本を書きました。
Q. 主演、稲垣吾郎さんをはじめ、長谷川博己さん、渋川清彦さん、池脇千鶴さんなど 魅力的な役者陣がそろっていますね。
4人の方々は初めてお仕事するのですが、僕からするとみなさん楽器は違うが面白いセッションが出来るんではないかと思いました。ボールに例えると、稲垣君は、きれいな回転を描きながらミッドに収まる速球、長谷川君はサッカーで言うと無回転シュートのようなどこに落ちるかわからない、渋川君は一生懸命投げているんだがワンバウンド、池脇さんはピンを弾き飛ばすボーリングのボールのような破壊力がありました。
Q.炭焼き職人の稲垣さんはどうでしたか?
何度か会ったことはありますが、普段の彼は非常に素朴さを感じました。淡々と炭を焼く土着な人間が実は似合うのは何となくわかっていました。
 
【コンペティション部門選出作品『愛がなんだ』監督 今泉力哉 コメント】
東京国際映画祭には、何度か観客として、そして日本スプラッシュという部門などで携わってきてから、この度コンペに選んで頂きとても光栄に思っております。
Q.コンペ出品のお気持ちは?
色んな人の出会いを通じて、1番最初は『サッドティー』で日本スプラッシュ部門に参加してから5年6年と、1年に1本作るたびに東京国際映画祭でお披露目できるのが続いていて、日本スプラッシュ部門ですごく成長させてもらったのですが、海外の作品と並んでみて頂けるコンペに選出された嬉しさがありました。切磋琢磨してきた松居大悟監督がコンペに選ばれていたのを観てきたので、「やっとたどり着いたんだな…」とじんわりきました。ただゴールではないので、どう観て頂けるか楽しみです。
Q.東京国際映画との縁についてどう思いますか?
映画祭の縁ももちろんですが、矢田部さんはもちろん、矢田部さんをつないでくれた方や、スタッフ&キャスト、そしてお客さん含め個々との縁がすごく大きいです。運をすごく感じますし、自信を持って作品を作り続けてきたこと、みなさんにも沢山の映画と出会ってほしいですし、映画祭との出会いに恵まれていたと思います。また、賞が取れなかったのが1つのバネになって翌年戻ってこれたし、賞を取った監督や上映された監督、そして審査員らと仲良くなって、また翌年来ようと思えるのが映画祭ならではだなと思います。
 
【コンペティション部門選出作品『愛がなんだ』主演 岸井ゆきの コメント】
こんな映画愛の強い方々に選んで頂き、より嬉しくなりました。
Q.コンペというのは全世界の中から1800本の中からの16本ですが、いかがですか?
本当に嬉しいです。今まで3回スプラッシュ部門でレッドカーペットを歩きましたが、コンペというところに行けたというのは、凄く嬉しかったです。世界の方々と一緒に上映される、そしてこの作品は世界共通の普遍的な物語なのでる本当に嬉しいです。
Q.監督はダメ恋愛映画を撮るのが大の得意ですが、今回も主人公のテルコも本当にダメダメでしたね。演じてみていかがでしたか?
演じてる時は全然ダメだと思っていなくて、マモルに向かっていくこの有志を見てくれぐらいの勢いでしたが…。最近スクリーンで見たのですが、やっぱりテルコの肩を持っちゃって応援しちゃいたくなる映画でした。
 
【アニメーション特集「アニメーション監督 湯浅政明の世界」 湯浅政明監督 コメント】
このような大きな映画祭で特集をして頂けるとのことで、とても光栄です。この機会に観て頂きたいと思います。今日はスーツなので、トレードマークの帽子は被らないで来ました。
Q.TIFFで特集されることについての率直な気持ちはいかがですか?
去年原さんで、ネットで今年は湯浅なんじゃないか?とガセネタが飛んでいて、もしそうなったらいいな…と思っていたのですが、いざなってみたら今までスゴイ方がやっていらっしゃって、ちょっと格が違う、間違いかと思いましたが…。こういう機会に恵まれて、大変有難く嬉しいです。
Q.貴重な作品上映になると思うのは何ですか?
「ちびまる子ちゃん」2本目の映画『さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』はDVD化されていないくて、いい映画なんですが、ミュージックシーンを担当していました。「クレヨンしんちゃん」から『ぶりぶりざえもんの冒険 飛翔編』『ぶりぶりざえもんの冒険 電光編』というちょっと毛色が違う作品も上映されます。演出をやり始めた頃の作品で、演出・作画・脚本・ミュージックシーンもそうです。ちびまる子ちゃんのミュージックシーンは『さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』の「1969年のドラッグレース」「買物ブギー」です。さくらさんが選んだ曲を担当してどうやるかプレゼンしました。さくらさんにプレゼンして「ああ、いいんじゃない?」と言ってくれました。とてもざっくばらんに接してくださって、スタッフにも優しくてとても楽しい思い出だったので残念です。
Q.個人的にデビルマンの上映がとても楽しみです。
Netflixに入っていらっしゃる方は世界的に見て頂けチャンスがあったのですが、入っていらっしゃらない方は是非この機会に観て頂ければと思います。ハードで原作も凄い内容なのですが、そこも割と上手く出来ていると思いますので、是非この機会に観て頂ければと思っています。
Q.この特集上映で監督のどんな姿が見えてくると思いますか?
色んなことやってるんだな、この人みたいな…。基本的には映像で楽しいことをやりたいと思っているのですが、意外と1つのテーマを奥に持ってやっているんだと思って下さる方もいるんじゃないかなと思います。若い時の方が奇抜な方向ですが、今はみんなと感動を共有できるものが出来ればと変わってきていると思います。
スゴイ良いチャンスをもらっていると思います。まだ観ていない方、観て下さった方も是非この機会にご覧頂きたいです。

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